「外から見ると少し白っぽい」「端がめくれて地金が覗いている」「粉が手につく(チョーキング)」。
塗装の剥がれは“見た目の問題”に見えますが、実際は設備の寿命と安全を左右する重要な劣化サインです。
シャッターは、鋼板やアルミ、ステンレスなどの金属に保護膜(塗膜)を作り、酸素・水・塩分の接触を遮断することで腐食を遅らせています。
保護膜が切れ、素地が露出すると、そこを起点に酸化(赤錆・白錆)が進み、板厚減少→穴あき→走行不良→安全装置作動→停止という故障ルートに入ります。
関西は黄砂・台風・海風(塩害)・幹線道路の粉じん・盆地の結露と、金属腐食の環境因子が揃ったエリア。
塗装の剥がれを「いま」止めることは、数万円の補修で終えられるか、それとも数十万円規模の交換へ進むかを分ける分岐点です。
本コラムでは、放置リスクの全容、現場でできる劣化診断の方法、DIYの安全限界、プロの補修・塗装メニューと費用感、防火設備の法令面の注意点、長期コストを最小にするメンテ計画まで、順序立てて解説します。
放置リスクは“美観低下”だけでは済まない四重のダメージ
塗装剥がれを放置すると、何が、どれだけ悪化していくのか?
現場での実例をもとに、(1)機能・安全/(2)機械的故障/(3)エネルギー・衛生/(4)コスト・経営の四つの観点で整理します。
どれか一つが不利益というより、四つが同時並行で進むのが怖い点です。
1. 機能・安全:腐食→板厚減少→穴あき→走行不良→挟まれ・落下リスク
塗膜が切れた箇所から、酸素と水分、塩分が金属にアクセスし、ピンポイントで腐食が進行します。
腐食は厚みを奪い、やがて孔食(点状の穴)や層状剥離に。
穴は雨水・粉じん・虫の侵入口となり、内部のガイドライナー(樹脂)やベアリングに悪影響を与えます。
結果、片寄り・斜行が生じ、電動では安全装置が反転→停止、手動では急落下のリスクまで生まれます。
2. 機械的故障:摩耗・噛み込み・モーター過負荷
剥がれた箇所周辺では塗膜片や錆粉が発生し、レールに堆積します。
これがジャリジャリ音・重い・同じ位置で引っかかる症状の主犯。
摩擦増はモーター電流の上昇・熱保護作動(停止)を招き、ブレーキ・ギア・チェーン/ベルトにまで連鎖的な負担がかかります。
放置でループが加速し、突然動かないという最悪のタイミング(朝の開店前、出庫ラッシュ)で現れがちです。
3. エネルギー・衛生:隙間風・風切り音・結露・虫害
塗装が剥がれて下端ゴム・サイドシールの劣化が進むと、隙間風や風切り音が増え、空調効率は悪化。
結露が増えて粉体錆・カビの発生源となり、食品・医薬・精密部品などの現場では衛生・品質事故の火種になります。
4. コスト・経営:TCO(総保有コスト)の激増と機会損失
「いまは予算がないから後で」の判断は、最も高くつくことが多いです。具体的には、
- 軽微補修(ケレン・錆止め・上塗2回):数万円で完了
- 部分交換・ガイド整正:数万~十数万円
- 全面塗り替え(高耐候):十数万~数十万円
- スラット大交換・駆動整備:十数万~数十万円
- 本体入替(電動・重量):数十万~百万円超
加えて、止まった時間=売上ロス/物流遅延/テナント損につながります。
放置はTCO(修繕+停止+評価低下)を最大化する選択になりがちです。
劣化メカニズムの基礎知識
1. 塗膜劣化の段階
- 褪色・ツヤ引け(樹脂の紫外線劣化)
- チョーキング(表面が粉を吹く)
- 微細クラック(温度伸縮差でヘアライン割れ)
- 付着力低下→剥離(水分の浸入・下地との界面破壊)
- 素地露出→腐食起点化(酸素・水・塩分が金属へ)
- 孔食・層状剥離・穴あき(局所腐食の深掘り)
2. 関西特有の加速因子
- 大阪湾・和歌山沿岸の海風(塩害):塩分は電解質。腐食セルを形成しやすく、赤錆の進行を加速。
- 黄砂(春):微粒子がレールや塗膜に付着し、研磨材のように摩擦増・塗膜微傷を作る。
- 台風・前線通過(夏~秋):風圧・雨水直撃・飛来物で点的ダメージ。
- 盆地の結露(京滋・奈良):夜間と昼間の温度差で水分滞留。
- 幹線道路の粉じん(阪神間・国道沿い):摩擦増・汚れ抱き込みで劣化促進。
結論としては、剥がれを見つけたら「この先、加速する」という前提で“止める段取り”に入るのが最短・最安です。
現場でできる劣化診断(5~15分)
写真とスマホライトがあればかんたんにシャッターの塗装の剥がれや劣化を診断できます。
安全第一(人の下で開閉しない)で実施してください。
1. 表面診断
- 色ムラ/ツヤ:平滑か、白ボケが広がっていないか。
- 粉付着(チョーキング):白い粉が手につくか。→再塗装の初期サイン。
- めくれ:爪で軽く擦ってパリッと剥がれる範囲の有無。
- 素地露出:地金が見えている点がないか。→緊急度高。
2. 腐食診断
- 赤錆粉:下端・端部・継ぎ目に赤茶色の粉。
- 膨れ(ブリスター):小さな気泡・膨隆。内部で腐食が進行。
- 穴あき:点孔・線状。光を当てると透けることも。
3. 走行影響
- 同位置で引っ掛かり/ジャリジャリ音/重い。→塗膜片・錆粉・レール異物の可能性が高い。
4. 写真記録のポイント
- 全景(扉全体・周辺環境)
- 近接(剥がれ・膨れ・錆・穴)
- レール・下端(堆積物・ゴムの状態)
- ボックス(結露・汚れ)
→ これらを無料相談に添えると、当日中の概算や優先度判断が可能です。
DIYの一次ケア(DIYでできること/やってはいけないこと)
1. できること(安全・短時間・高効果)
- レール清掃:掃除機+ブラシ→湿拭き→乾拭き。黄砂・塩分・錆粉を徹底除去。
- 薄膜潤滑:無溶剤シリコンをレール内に“ごく薄く”点在噴霧→布で均す→短ストロークで馴染ませる。
- 応急の防錆:素地露出点に錆転換材を少量、乾燥後にタッチアップ(同系色)。
- 下端ガード(非接触):空調負荷やドラフトを和らげる置き型のドラフトガード(走行部に貼るのはNG)。
2. やってはいけないこと
- グリス・油脂の厚塗り:埃を抱き込み、数日で再悪化・動作不良に。
- 可動域への隙間テープ貼り:走行干渉・巻込み・事故の原因。
- 広範囲の研磨:素地を傷つけ、却って腐食を加速。
- 防火シャッターの勝手な塗替え・改造:認定構造への抵触リスク。
(詳細は後述の「防火シャッター等の法令面の注意」をご確認ください。)
DIYは清掃・薄潤滑・点補修までが原則です。
広範囲のケレン・下地処理・塗替えは、素地や既存塗膜の見極め・膜厚管理・乾燥時間管理が成否を左右するため、プロに任せるのが結果的に安い選択です。
プロの補修・塗装メニュー
1. 軽度(チョーキング・ごく小範囲の剥がれ)
- 作業:手工具ケレン(ST-2相当)→エポキシ系錆止め→シリコンorウレタン上塗2回→乾燥→試運転
- 費用感:1面あたり 8万~18万円(W3.0×H2.5m目安/範囲・色・時間帯で増減)
- 効果:美観回復+防錆バリア復元。早期ならここで終わる。
2. 中度(膨れ・点錆・端部の層状剥離・走行への影響)
- 作業:電動ケレン混在→素地調整→欠損部金属用パテ整形→防錆下塗→高耐候仕上げ(シリコン/フッ素)
- レール・下端整正:堆積除去・下端ゴム交換・芯出し微調整
- 費用感:12万~30万円
- 効果:腐食の起点をリセットし、走行の軽快さまで回復。
3. 重度(広範囲の剥離・穴あき・ガイド腐食・走行不良)
- 作業:部分スラット入替/ガイド補修/ボックス内防錆/全面塗替え(重防食系の選択肢含む)
- 費用感:20万~60万円(部材・高所・夜間で増減)
- 効果:根因からの再生。停止リスクの一掃。
4. 塗装ではなく「交換」が合理的なケース
- 板厚大幅減・大穴・広範囲の層状剥離/駆動系まで劣化/部材供給終了
- 費用感:軽量手動:18~45万円/軽量電動:35~80万円/重量電動:80~200万円
- 判断軸:修繕費が交換費の50~60%を超える、または今後の修繕頻度が上がるなら交換がTCO最小。
なお、シャッター119では、最短ルートで“止めずに直す”を徹底しています。
シャッターに不具合がある場合、現場では「営業に間に合わせたい」「物流を止めたくない」が最優先です。
シャッター119は在庫前積み・複数台同日段取り・夜間/早朝施工でダウンタイム最小化を徹底しますし、作業前に明朗見積、作業後は報告書で社内報告もスムーズに完了させることができます。
何かシャッターでお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
塗料の選び方(耐久×コスト×環境で最適化)
| 上塗種別 | 期待耐久 | 特徴・向き | 概算アップ(ウレタン基準) |
|---|---|---|---|
| ウレタン | 5~7年 | コスト重視・小規模補修に | 基準 |
| シリコン | 7~10年 | 関西の標準解。耐候・コスパ良好 | +10~20% |
| フッ素 | 12~15年 | 海沿い・幹線沿い・色保持重視 | +30~60% |
| 重防食(亜鉛リッチ等) | 15年~ | 塩害・薬品環境・工場 | 個別見積 |
- 錆止めはエポキシ系が基本。付着性・防錆性に優れる。
- 色は濃色ほど熱影響・伸縮が大きい。淡色は熱に有利だが汚れ目立ちに注意。
- 塗り重ね間隔(インターバル)を守るのが耐久の肝。早塗りは付着不良・早剥離の元。
【重要】防火シャッター等の法令面の注意
防火シャッターなどの防火設備は、認定構造(部材・工法)で成り立っています。
勝手な塗替えや部材変更は、認定逸脱・作動不良のリスク。
- 可燃性の高い塗料・厚塗りによる閉鎖動作の阻害は厳禁。
- 感知・連動部に付着・塗り込みは不可。
- 建物用途・規模により、年1回以上の定期点検・報告が必要なケースあり。
もし法令面で迷ったら、現地仕様の確認→所管・メーカー方針の照会からシャッター119がサポートします。
関西全域(大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山・滋賀)で迅速に出張し、無料で現場診断・見積もりを行っております。
万が一自力で対応できない場合は、ぜひ信頼のおけるプロに依頼してください。

「壊れてから」ではなく「壊れる前」に行う予防保全の設計
1. 月次(10分/台)
- レール清掃:掃除機+ブラシ→湿拭き→乾拭き
- 薄膜潤滑:無溶剤シリコンを点在→布で均す(吹き過ぎNG)
- 外観点検:剥がれ・膨れ・錆粉・穴の有無、下端ゴムの劣化
2. 季節前(春=黄砂/梅雨前/台風前)
- 黄砂期:付着粉体のリセット(外装・レール)。
- 梅雨前:下端ゴムの吸水膨れ、ボックス結露対策の確認。
- 台風前:固定部増し締め、端部の目違い、周辺の飛来物対策。
3. 年次(プロ点検)
- 膜厚・付着の簡易評価、腐食箇所の特定
- 走行系・駆動系の総合点検(安全装置・電装含む)
- 再塗装要否判定:小規模補修で済むか、部分塗替えか、全面か
なお、シャッター119では、定期点検で小さな剥がれを早期に見つけ、その場の小補修でシャッターを延命します。
実はこれが最良のコスト削減につながります。
定期的なシャッターの点検も、シャッター119にお任せください。

スポット修理と定期点検+小補修のどちらが安い?
ここでは、あるお客様の事例をもとに、スポット修理で対応するケースと、1年に1回の定期点検と小補修を行ったケースを比較してみましょう。
定期点検と小補修を行うほうが、どれだけコスト削減につながるのかを数字でご理解いただければと思います。
- 前提:W3.0×H2.5m×4面/屋外・幹線沿い、年1回黄砂、台風2回
- スポットのみ:年2回の停止→清掃・調整(2.5万円×2)+2年に1回部分塗替え(20万円)=年間平均 12.5万円
- 定期点検+小補修:年1回点検(1.2万円×4=4.8万円)+小補修(2万円)=約6.8万円
→ 差額 約5.7万円/年。停止ロス・クレーム回避を加味すれば差はさらに拡大。
関西全域でのシャッター塗装剥がれのケーススタディ
- 大阪市港区・ロードサイド店(電動1面)
症状:下端からの剥がれ→赤錆粉→風切り音。
対策:ケレン→エポ錆止→シリコン上塗2回/下端ゴム交換。
費用:176,000円/工期:半日(乾燥管理)。
効果:音消失・ドラフト減。空調効率も改善。 - 神戸市中央区・倉庫(重量3面・沿岸)
症状:端部層状剥離・走行時ジャリ音。
対策:部分入替+ガイド整正/重防食下塗→フッ素仕上。
費用:97万円(3面・高所)/工期:1.5日。
効果:走行軽快・再発抑制(塩害下でも保護力向上)。 - 京都市伏見区・バックヤード(手動2面)
症状:チョーキング+軽い剥がれ。
対策:電動ケレン併用→シリコン仕上/レール清掃。
費用:28万円/工期:1日。
効果:美観回復・異音解消。
よくある質問(FAQ)
Q1. 小さな剥がれだけですが、塗り替えは必要?
A. 露出素地があれば防錆点補修(錆止め+タッチアップ)は早いほど有利。面へ広がる兆候(チョーキング・膨れ)があれば部分塗替えをご提案します。
Q2. 雨の日でも作業できますか?
A. 原則不可。乾燥・密着が得られません。予備日を設定し、確実な品質を優先します。
Q3. 電動シャッターでも同じ手順?
A. 塗装部は同様ですが、同時に電装部の結露・配線状態も点検します。防水養生と試運転(安全装置含む)までワンストップで施工。
Q4. 防火シャッターは塗替えできますか?
A. 要注意。認定構造との整合が必要です。可燃性の高い塗料・厚膜で閉鎖動作に影響する施工はできません。
Q5. 夜間・早朝でも対応可能?
A. 可能です。関西全域で時間外施工に対応(現場条件により割増)。営業を止めない段取りをご提案します。
Q6. まず概算だけ知りたい
A. 写真3枚(全景/近接/下端・レール)をお送りください。当日中の概算と優先度をご案内します。
シャッター119の強み(まとめ)
「シャッター119」は、関西全域(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀)において、豊富な実績と確かな技術を背景に、迅速で安心できるサービスを提供しております。
- 最短即日・夜間可:関西全域(大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山・滋賀)でスピード対応。
- 明朗見積・段階案:軽補修/部分塗替え/全面塗替え/将来交換まで、複数案を横並びで提示。
- 品質重視:エポ錆止+適正上塗+乾燥管理を徹底。写真つき報告書で社内稟議・監査にも対応。
- 電気×機械×塗装のワンストップ:塗ったあとに走行・電装で止まらないよう、最終試運転まで一気通貫。
- コスト最小化:定期点検+小補修で“壊れる前”に抑える運用。在庫前積み(下端ゴム・ライナー等)等で即応。

無料相談・出張見積もりを“最短”にする依頼メモ
ご依頼の際には、以下をご用意いただくと、最短で対応することができます。
ぜひ可能でしたら、ご用意いただければと思います。
- ① 所在地(市区)・業態 ② 台数・サイズ(幅×高さ・概算)
- ③ 症状(チョーキング/剥がれ/膨れ/穴/異音/重い)
- ④ 環境(沿岸/幹線沿い/黄砂強い/結露)
- ⑤ 写真3~5枚(全景/近接剥がれ/下端・レール/周辺環境)
- ⑥ 希望時間帯(開店前/閉店後/昼休憩/夜間)
- ⑦ 併せて気になる点(動き・音・風・水)
まとめ
今回はシャッター塗装の剥がれについて、放置する危険性をお伝えしてきました。
塗装の剥がれは、定期点検にて早期発見し、小さいうちに小さい工事で修理することで、大きな出費を抑えることにつながります。
- 現状:関西の環境では、塗装剥がれは加速する。
- 放置リスク:腐食→走行不良→停止→事故・ロス→費用高騰。
- 最短ルート:清掃→薄潤滑→点補修で時間を稼ぎ、プロの見極めで最小工事へ。
- 長期戦略:定期点検+小補修でTCO最小。**季節前(黄砂・梅雨・台風)**に先回り。
- 法令配慮:防火設備は認定構造に注意。迷ったら無料相談から。
“少し剥がれているだけ”は、最も安く直せる最後のチャンス。
美観だけでなく、安全・設備寿命・コストを守るために、シャッター119が、電気×機械×塗装のワンストップで最短・最小の解決をご提案します。
【ご依頼の流れ】
- 点検:まず、シャッターの損傷箇所を点検します。
- 見積もり:修理にかかる費用を見積もります。
- 修理:必要な部品を交換し、シャッターを修理します。
- 動作確認:修理後、シャッターが正常に動作するか確認します。
修理は、必ず依頼いただいたお客様とお話し、ご納得いただいた上で開始させていただきます。
「当初の見積もりよりも部品の発注をしないといけなくなりそう」「費用がかかりそう」だと判断した場合は、必ず手を止めて再度ご提案をさせていただきます。
いきなり修理を始めて、修理後にビックリする金額を請求するようなことはございませんのでご安心ください。

