朝の開店準備や荷捌きの最中に、シャッターが固い/開けにくい。
無理に力を掛けて動かすと、指・手首の挟まれ事故やスラット変形の拡大、電動ならモーター焼損を招くリスクがあります。
実はこの症状、汚れ・潤滑不足・微小な歪み・消耗部の劣化が複合して起きていることがほとんどです。
正しい順序(切り分け→安全な一次ケア→必要時にプロ)で向き合えば、その場で改善できるケースも珍しくありません。
本コラムでは、関西の現場で多い原因の全体像から、今日できる安全な一次対処、プロ修理の内容と費用目安、季節(黄砂/梅雨/台風/結露)×立地(沿岸/幹線沿い)に効く予防までを網羅しました。
焦らず、この記事をご覧いただき、順番に進めましょう。
「固い/開けにくい」原因とは
シャッターはレール(ガイド)・スラット(板)・巻取り軸・バネ(手動)/駆動部(電動)・安全装置が協調して動きます。
固さの多くは摩擦増か直進性の乱れ(芯ズレ)、もしくは補助力低下(バネ・ブレーキ)が原因。
下記を確認して当たりを付けましょう。
- レール内の砂・小石・黄砂・ラベル片
→ 特定位置でガタン、ジャリ感、雨・風後に悪化。 - 潤滑不足/不適切な油(粘い油の厚塗り)
→ ギー/キーと擦れ音、動きが重い。 - スラット端の曲がり・目違い/ガイドの芯ズレ
→ 同じ位置で引っ掛かる、斜めに走る。 - 下端ゴム(ボトムシール)の膨れ・硬化/床段差・異物
→ 最後の数センチで重く、ドスンと止まる。 - 固定金具の緩み(ガイド・ブラケット)
→ カタカタ振動音を伴い、摩擦が増す。 - 手動:巻上げバネの張力低下/破断
→ 手を離すと落ちる/保持不可、全体に重い。 - 電動:センサー誤検知・ブレーキ固着・リミットずれ・熱保護
→ 途中停止・反転、連続操作後に無反応→時間を置くと復帰。 - 環境要因(黄砂・塩害・台風・結露・室内負圧)
→ 天候や時間帯で症状が変わる。吸い込み音/風切り音も伴う。
安全のために、人の下で動かさない・連続操作で押し切らない・バネ/電装/高所には触れないことは特に注意してください。
5分でできる安全な一次チェック(工具不要)
やみくもに油を差す前に、見て→拭いて→短ストローク試験で切り分けます。
電動は必ず電源OFF、高所は無理をせず目視範囲だけにとどめてください。
- ロック解除:下端ロックや幅木ロックの解除忘れが無いか。
- レール目視:砂・小石・黄砂・ラベル片・結束バンド破片の有無。
- スラット端の傷・曲がり:擦れ跡や波打ちがないか。
- 下端ゴム・床:ゴムの膨れ・裂け、床の段差・堆積汚れ。
- 10〜20cmだけ上げ下げ:引っ掛かる位置を特定。
- 電動のみ:
- 連続操作したか → 20~40分冷却休止。
- センサー(発光・受光)レンズ清掃(柔らかい布で)。
- ブレーカーOFF→30秒→ONで軽リセット。
もし、金属がガリガリ削れる音/大きな斜行/手を離すと落下傾向など、このような場合にはすぐに操作をやめてプロへ相談してください。
今日からできるDIYでの改善策(安全範囲だけ)
DIYできる範囲でも効果が大きく、失敗しにくい順に紹介します。
可動部に柔らかい物を貼る、グリス厚塗りは悪化の元なのでNGです。
1. レール清掃(最優先)
- 掃除機+ブラシで左右レール溝の砂・小石・粉塵を徹底除去。
- 湿拭き→乾拭きで黄砂・塩分をリセット。
- 禁:高圧洗浄(電装浸水)/金属たわし(傷→錆)。
2. 薄膜潤滑(無溶剤シリコン)
- 無溶剤シリコンスプレーをレール内面にごく薄く点在噴霧→布で均す。
- 2〜3回ゆっくり開閉して馴染ませ、余分は拭き取り。
- 禁:CRC等の油脂厚塗り/グリス→埃を抱き込み数日で再悪化。
3. 触れる範囲の軽い増し締め
- ガイド取付の外周ビスが明らかに緩い場合のみ軽く。
- 禁:レールをこじる矯正/高所・内部の締結(歪み・墜落リスク)。
4. 下端/床の簡易是正
- 下端ゴムに付着した砂やテープ片を除去。
- 床側の砂だまり・段差(モルタル欠け)は清掃。
- 置き型のドラフトガードは一時的に有効(走行部に貼るのは厳禁)。
ここまでで改善すれば軽症です。
同じ位置で再発・重さが残る場合は、スラット端の変形/ガイド芯ズレ/バネ・駆動系が疑われます。
原因別の症状→対処→プロ領域の早見表
現場でもすぐに使える判断基準をまとめました。
右欄にプロ作業を明記してありますので、DIYの線引きにご活用ください。
| 症状 | 想定原因 | まずやること(DIY) | プロが行う作業 |
|---|---|---|---|
| 同じ位置で引っ掛かる | レール異物/スラット端曲がり | レール清掃→短ストローク確認 | スラット端矯正・入替/ガイド芯出し |
| 全体的に重い(手動) | バネ張力低下・軸受抵抗 | DIY不可 | バネ調整・交換/ベアリング整備 |
| 最後の数センチで重い/ドスン | 下端ゴム膨れ・床段差 | 下端・床清掃 | 下端ゴム交換/床レベル補修 |
| カタカタ振動+重い | 取付緩み・ライナー摩耗 | 外周ビス軽増し締め | ライナー更新/ガイド固定強化 |
| 雨・黄砂後に重い | 粉塵・塩分堆積 | 清掃→薄潤滑 | 錆処置・防錆/消音・防塵部材更新 |
| 電動で途中停止・反転 | センサー誤検知・熱保護 | レンズ清掃・冷却・リセット | センサー調整・交換/ブレーキ整備/リミット再設定 |
| 連続操作後に無反応 | 熱保護(モーター・ブレーキ) | 20~40分冷却休止 | 負荷診断/駆動系整備/容量・減速比見直し |
プロ修理の内容と費用目安(関西の相場感)
正確な金額は状況によって異なりますので、現地診断後に行いますが、ここでは意思決定の参考にできるように相場感をお伝えします。
サイズ・高さ・在庫可否・時間帯で上下します。
- 清掃・調整のみ:5,000~30,000円(1台・30~60分)
- 下端ゴム交換:6,000~18,000円(30~90分)
- ガイド内ライナー/サイドシール更新:15,000~40,000円/1枠(60~120分)
- スラット端矯正・部分入替:8,000円~/枚(矯正)/15,000円~/枚(入替)
- ガイド芯出し・固定強化:8,000~20,000円
- (手動)バネ調整・交換/軸受整備:30,000~120,000円
- (電動)センサー調整・交換:15,000~40,000円
- (電動)ブレーキ整備・リミット再設定:20,000~70,000円
- (電動)チェーン・ベルト調整/交換:30,000~80,000円
基本、早期対応ほど軽作業で完結する傾向にあります。
無理に動かし続けるとスラット・ガイド・駆動系へ連鎖し、費用が跳ね上がります。
関西ならではの季節と立地に効く予防メンテ
関西は黄砂→梅雨→台風が定番です。
また、沿岸(大阪湾・和歌山)・幹線沿い(粉塵)・内陸盆地(結露)も影響します。
これらは事前の一手を対策することで、シャッターが固い・開けにくいとなることを予防することができます。
ぜひ試してみてください。
- 黄砂期(3〜5月):レール徹底清掃→薄膜潤滑。黄砂は“固さ”と“鳴き”の燃料。
- 梅雨前:下端ゴムの吸水膨れチェック、ボックス内結露対策(開放NG・除湿材)。
- 台風前:ガイド固定の増し締め、スラット端の目違い点検、外装の飛来物対策。
- 沿岸部:真水洗浄→乾拭きを月1で。塩分は摩擦・腐食を加速。
- 幹線沿い:粉塵で摩擦増→清掃頻度を標準の1.5~2倍へ。
関西の現場で実際にあったケーススタディ
条件は違っても改善の型は使い回せます。
ぜひこの事例をご確認いただき、参考になさってください。
- 大阪市此花区・物流倉庫(手動)
症状:同じ位置でガタン+重い。
対処:レールに出荷ラベル片。清掃→即解消。開梱位置を1m後方へ変更。 - 神戸市中央区・店舗(電動)
症状:途中停止・反転(雨後)。
対処:センサー曇り清掃・位置是正→安定。黄砂後の臨時清掃を運用化。 - 和歌山市沿岸・工場(重量)
症状:全体に重く、下端でドスン。
対処:下端ゴム交換+床清掃+ボックス結露対策。月1の真水洗浄で再発なし。 - 京都市伏見区・バックヤード(手動)
症状:朝だけ固い。
対処:前夜の湿気→朝の結露が原因。短ストローク慣らしと軽潤滑で改善。
よくある質問(FAQ)
実際に関西全域で数多くのシャッター修理を対応してきた経験から、特に現場で多い疑問とその回答をまとめました。
もし、他にご質問があれば、お気軽にシャッター119までお問い合わせください。
Q1. 556(浸透潤滑油)を使ってもいい?
A. 推奨しません。埃を抱き込み数日で再悪化します。無溶剤シリコンを“薄く”が基本。
Q2. バネ調整は自分でできる?
A. 絶対にNG。大きなエネルギーを蓄えています。専門工具・手順・経験が必須です。
Q3. 電動で冷却休止後も重い/止まる。
A. ブレーキ固着・駆動摩耗・リミットずれの可能性。プロ診断が安全・確実です。
Q4. 下端にスポンジやテープを貼っても?
A. 可動干渉・吸水・腐敗・巻込み事故のリスク。置き型のドラフトガード等、非接触の補助を。
Q5. どのくらいの頻度で手入れを?
A. 標準月1清掃+半年~年1の薄潤滑。黄砂・台風後は臨時清掃。沿岸・粉塵は頻度UPを。
Q6. 夜間・早朝の対応は可能?
A. 関西全域で時間外対応が可能です(現場条件により割増・騒音配慮あり)。
まとめ
シャッターが固い/開けにくいの大半は、汚れ・潤滑不足・微小な歪みが発端です。
清掃→薄膜潤滑→短ストローク確認だけで改善する例は多く、放置するほど高額化します。
なお、バネ・電装・高所に無理は自分でDIYで対応しようとするのは禁物です。
兆候の段階で正しい順序で向き合えば、安全に・小さな費用で日常を取り戻せます。
迷ったら止める→呼ぶ→記録するが最短ルートです。
なお、「今日の営業までに軽くしたい」「原因だけ知りたい」「再発しない仕組みにしたい」
このようなご要望がある場合、まずはシャッター119に無料相談を。
大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山・滋賀をカバーし、最短即日で現地診断・明朗見積を行い、作業後は写真付き報告書をお渡しします。
【ご依頼の流れ】
- 点検:まず、シャッターの損傷箇所を点検します。
- 見積もり:修理にかかる費用を見積もります。
- 修理:必要な部品を交換し、シャッターを修理します。
- 動作確認:修理後、シャッターが正常に動作するか確認します。
修理は、必ず依頼いただいたお客様とお話し、ご納得いただいた上で開始させていただきます。
「当初の見積もりよりも部品の発注をしないといけなくなりそう」「費用がかかりそう」だと判断した場合は、必ず手を止めて再度ご提案をさせていただきます。
いきなり修理を始めて、修理後にビックリする金額を請求するようなことはございませんのでご安心ください。

